June 22, 2004
福大トンネル
福大トンネル(仮称)は福岡市西南部地域の渋滞緩和、快適な道路と安全環境の提供、
各地域間の交流・活性化を目的として整備が進められています。
現場写真 2004/6/20撮影
この福大トンネルは、福岡都市高速道路5号線の上下線、各2車線(合計4車線)と
一般国道202号線の上下線の各2車線(合計4車線)をBOXカルバートの開削工法にて施工します。
またこの地下には最低土被り8mで、地下鉄のトンネルが上下線と、共同溝のトンネルが合計で3つはいっています。
このような場所はほとんど例が無く、極めて稀な例です。
この福大トンネルの上部構造、つまり車が走るBOXカルバート部分は
現場合成式BOXカルバートで、工場でこのBOXの頂版と側壁の一部を製作し、
現場で門型に組み立て、底版・側壁・頂版に現場打ちコンクリートを打設して、一体化する工法です。
下の写真の奥側が、現場打ちコンクリートを打設し一体化したもので、
手前の鉄筋が見えているものが、工場から運んできたものを組み立てたものです。
この、工場製のプレキャストコンクリートは、1つのユニットの幅が約1.5mで、
数ユニットでセットになっており、そのセットごとに、コンクリートを流し込み一体化します。
一体化されたものの、端はこうなっています。
よく見ると、次のブロックと接合するための、鉄筋が出ています。
また、黒い箇所は「止水ゴム」と「水膨張シール材」で、接合部から水が浸入するのを防ぐ役割があります。
では次に、このBOXカルバートを設置する前の段階、この大規模な土留・開削についてです。
この開削部の幅は約45mあり、土留め壁の最も深いところで、約17mあります。
こういった土留、よく使われるのは鋼矢板土留で、この福大トンネルでも使われています。
大規模な鋼矢板土留の写真。
しかし、深かったり、側圧が強くなると、鋼矢板では対応できなくなり、他の工法の検討が必要です。 また鋼矢板は打ち込みに騒音が出るため、住宅の近くでは使いにくいものでもあります。
鋼矢板で対応できない場合等で、今回のように仮設でよく使われる土留工法としては、SMW工法(ソイル・ミキシング・ウォール)があります。
これは、専用の多軸混練オーガー機(SMW機)で原地盤を削孔し、その先端よりセメントを吐出して削孔しながら混ぜ合わせ、ソイルセメント壁体を造るものです。
この工法は多く使われており、SMW機は色々な工事現場で見ることができます。
ですが、その形状の印象から「杭打ち機」や単なる「ドリル」と見られることが多く、
地下に連続壁を構築しているとは思われていない事が多いようです。(でも、杭打ちの補助等をすることはできます。)
SMW機の画像
参考→SMW協会
しかし、今回 福大トンネルではこのSMW工法は使われていません。
使われているのは、SMW工法を発展させた、TRD工法と呼ばれるものです。
これは、巨大なチェーンソー状のカッターを地中に垂直に建て込み、
それを一気に横引きすることで地盤を掘削し、掘削した原地盤土砂とセメントを混ぜ合わせせ、ソイルセメント連続壁を施工する工法です。
施工のスピードも速くなり、また芯材として建て込むH型鋼の自由度も向上しました。
参考→TRD工法協会
福大トンネルのTRD連続壁。
かなり壮観です。
ですが、このTRD工法当然ですが鋼矢板より高くつきます、その為
この様に、一部だけTRDという場所も存在します やはりこのご時勢、少々ややこしくても経費削減の努力はしなくてはいけないですね、エライです。
ところで、この連続壁ですが さすがにこの壁体だけで背面の土を留めているわけではありません。
主にグラウンドアンカーという工法で、背面の土を留めています。
このグラウンドアンカー、工法は数多くあるのですが、多くの工法は、まずボーリングで細い孔を掘削し、PC鋼やカーボンワイヤー又は鉄筋等を挿入し、グラウト(水ガラス)等を注入して、地山との大きな周面摩擦抵抗による引張力で、土留めを行っています。
このグラウンドアンカーですが、これを行っている場所は、↓の写真のようになっています。
これはまだ、↑の写真のようにアンカーを留めていない場所です。
下の方にある、黒い線がアンカーです 形状や太さから見てカーボンワイヤーと思われます。
もう少し下まで掘削したら、腹起こし(横のH型鋼)を設置し、アンカーに緊張を与えます。

以上簡単ながら、福大トンネルの開削部の説明でした。
ところで、今回の写真ですが、一般用の仮橋の上や、横の歩道から撮った物です。
つまり、一般の人でもこの風景を見ることができます、現場はかなり壮観ですよ。
土木に興味が無い人も、一度行って見て見ると面白いと思います。
ちなみにその仮橋ですが。
こんな感じになっています、凄いですけどなんとなく怖いですね(^^;
お久しぶりです。さっちんです。
久々に覗いてみたらめっちゃ面白いじゃないっっ!
僕は土木じゃないけど、これはすごく面白いですねー。今度見に行こうっと。
確か、2,3年前にSMW工法を教えてもらったと思うんだけど、さらにすごい技術が出来てるとは。
でもやっぱり土木でないので分からない点も・・・。
>施工のスピードも速くなり、また芯材として建て込むH型鋼の自由度も向上しました。
H型鋼はSMW工法の時では限られてたんですか?
あー、今度近くに行くので絶対見に行こうっと。
さっちんコメントありがと。
SMWもTRDも建て込む鋼材はH型鋼なんだけど。 SMWはドリルで掘削するので、円を繋いだような形状になるので、H鋼を建て込むのはその円の中心じゃないとダメだったのよ。
だから、H型鋼を建て込む間隔が限定されてたわけだけど、TRDなら、円の時のような制限はないので、必要な強度の分のH型鋼を建て込むことができるようになったわけ。
これで、過剰な強度を持たせなくても良くなって、鋼材全体の値段も安くできる。
すごく良い事ばかりの工法だけど、まだTRD機の数が少なく、実績も多くはないので、まだまだSMWが仮設連続壁の主力だとおもう。